コンビニ・エバポ第22弾
導入事例紹介(ユーザーズボイス)
同じ時間に集めたサンプルを同時に処理できることで、変性を防ぐことができました!!
今回は、メタボロミクスの基礎的研究を行っている冨田先生にお話を伺って参りました。
(インタビュー先:福岡大学 薬学部 機器分析学教室 助教 冨田 陵子 先生)
冨田先生のご研究内容
- 私たちはメタボロミクスによる培養細胞状態の評価に関する基礎的研究を行っており、現在は、細胞培養培地中のアミノ酸をターゲットに測定を行っています。
コンビニ・エバポの活用方法
- アミノ酸などの細胞内の低分子代謝物の中には、濃度が低い為、LC-MS/MSでも検出できないものもあります。そこで濃度を上げて検出可能とする為に、サンプルを濃縮しています。
濃縮する前は、培養細胞内の微量な低分子代謝物を有機溶媒と水の混合液で抽出しており、その後にコンビニ・エバポC10を用いて濃縮を行っています。
<濃縮作業の詳細>
- 60%~80%程度のメタノール溶液やアセトニトリル溶液で、それぞれ容量800µLをポリプロピレン製の1.5mLサンプルチューブを利用し乾固させています。
水が含まれているサンプルなのですが、なるべく早く溶媒を飛ばしたいので50℃設定にしており、これまでの経験からサンプルの遊離アミノ酸には、熱の影響がない温度設定だと考えています。
<サンプル検体数や作業時間>
- 実験系全体でみると数日間かかります。
具体的には、細胞内の代謝物濃度を経時的に測定するため、だいたい24時間ごとにサンプルを集めており、抽出に30分、濃縮は1日1回4~6検体を2~3時間程度となります。この作業を数日かけて約5回繰り返し行っております。
コンビニ・エバポを知ったきっかけ
- 最初は代理店さんからのチラシ紹介や学会での機器展で知りました。
水を含む溶液でさえ揮発させにくいイメージが強くありましたが、「DMSO溶液(高沸点溶媒)も飛ばせる」というような記載を見て、すごく便利そうだな…と感じました。 - 当初は1検体モデルのみだったため、自分の研究で利用したい!という考えには至りませんでした。でも多検体モデルが販売されたことから研究室の他の先生と相談して購入しました。
コンビニ・エバポ導入前の課題
- これまでは、窒素ガスの吹き付けによる乾固を行っていました。この吹き付けはアルミブロックタイプで、9検体セットが可能な装置でした。
- ただ、窒素ガスの流量が多くなり消費が早くなること、吹き付けている間に室温で数時間~半日置いている状態となり何らかの変性を起こすリスクがあったため、最大9検体の処理が可能であっても1~2検体ずつを短時間で乾固させる操作を繰り返すようにしていました。
- 現在と同じ容器を用いていましたが、1~2検体ずつ分けて処理していましたので、全検体を済ませるにはとても長い時間がかかっていました。
- そのことからも試料前処理の操作として「濃縮」を取り入れることに対して抵抗がありました。
コンビニ・エバポ導入による改善点
- 水を含んでいる試料でも、それほど濃縮する時間がかからず、窒素ガスの消費量も気にすることなく、気兼ねなく自由に作業できています。
時間を決めてサンプルを集め、経時的な変動を評価するのですが、これまでの方法では、抽出~濃縮までの過程でサンプル間に時間的なバラツキが生じる懸念がありましたが、「コンビニ・エバポC10」では4~6検体を同時処理でできることから重宝しています。 - 同じ時間に集めたサンプルを一度に同じ条件で濃縮できる点が良いところだと感じています。
現在、濃縮したサンプルをLC-MS/MSで測定し、約20種のアミノ酸を検出できていますので、濃縮方法を変えたことで、検出できなくなったり、未知ピークがクロマトグラム上に大きく出現するといったことも特にありませんでした。 - (※コンビニ・エバポの濃縮原理でもLC-MS/MSの測定に影響を与えず、前処理で濃縮することの抵抗が無くなり、大変光栄です!)
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取材者のコメント
アミノ酸をターゲットにLC-MS/MSで検出させる際の濃度を上げる必要があった冨田先生は、サンプルの経時的な変動を評価するため、濃縮中のサンプルの変性が一番避けたい点でした。これまでは処理したいサンプル数が4~6検体だった場合に1~2検体ずつに分け、さらに数回繰り返しする必要があったため、時間がかかり過ぎることから濃縮に抵抗がありました。そのような課題に対して、コンビニ・エバポC10を用いることで、同じ時間に集めたサンプルを一度に同じ条件で濃縮できるようになり、水を含んでいても素早く処理して、サンプルの変性を防ぐことができました。
また、濃縮方法を変えてもLC-MS/MS測定において検出できなくなったものがあったり、未知ピークが出現することもなく、濃縮作業の効率化が実現できた良い事例となりました。(取材担当:菊地)
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