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コンビニ・プレップによる脱塩の原理(2)

アプリケーション

はじめに

・前報(JP007)にて、コンビニ・プレップでの脱塩の原理を紹介したが、目的化合物が解離基(カルボキシル基など)を有する場合には、脱塩工程において留意すべき点がある。
・本報では、前報に引き続き「疎水性相互作用」を利用し、「解離基を有する化合物」に対する脱塩原理について解説する。

原理

・「疎水性相互作用」を利用した「脱塩」では、目的化合物が「疎水性相互作用」を持つことが必要。
・解離基を有する化合物は「解離型」になると極性が高くなり「疎水性相互作用」が著しく低くなる。
・酸性化合物と塩基性化合物の解離の様子(解離反応)は下記の通りであり、共に「解離型」は吸着剤に保持されずに排液されやすくなってしまう。

・解離基を有する化合物の場合、極性の低い「非解離型」とすることが必要となる。
・解離基を有する化合物を 「非解離型」 にするためには下記のように試料溶液の pH 調整を行う必要がある。

酸性化合物
⇒ 試料溶液を酸性*)にすることで、解離反応を「非解離型」 寄りにする。
*)リン酸などを加えて酸性 (pH2)程度 にする

 

塩基性化合物
⇒ 試料溶液をアルカリ性**)にすることで、解離反応を「非解離型」 寄りにする。
**)水酸化ナトリウムなどを加えてアルカリ性(pH10~11)程度 にする

・上記のように試料溶液の pH を調整し、化合物を「非解離型」にすることで、 Fig.1 に示す脱塩プロセスにおける「試料添加時」「試料通液時」における吸着剤への保持効率が向上し、高い回収率で脱塩を行うことが可能となる。また、pH調整で完全に「非解離型」にできない場合でも吸着剤の量を増やすことで回収率の低下を防ぐことができる。

まとめ

・コンビニ・プレップによる脱塩は、疎水性吸着剤と目的成分の疎水性相互作用を利用して行われる。
そのため、目的とする化合物が解離基を有する場合には、「非解離型」にするためのpH調整を事前に行うことが重要となる。
(試料溶液のpH調整は、リザーバーに添加する前に行うことが望ましい)
・コンビニ・プレップでは60mL のリザーバーが使用できるため、化合物を完全に「非解離型」にできない場合でも、吸着剤を多量(20~30g程度)に入れることで回収率を落とすことなく脱塩を行うことが可能である。

 

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