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アルコール含有試料の分画収率向上~日本酒~

アプリケーション

はじめに

・古来より「酒は百薬の長」と言われるように、日本酒には多くの有効成分が含まれている。
・日本酒中の有効成分探索に固相抽出が用いられることがあるが、日本酒をそのまま試料として適用すると、アルコールの影響により分画時の収率が低くなるという課題がある。
・特許技術であるVVC法)を応用した分画時の試料適用時に吸引攪拌機能を有する分画システムである「コンビニ・プレップ」を用いることで、アルコール含量試料からの分画時の収率を向上することが可能となる。
*:吸引式ボルテックス濃縮(Vacuum Vortex Concentration:VVC、Fig.2)

吸引気化固相抽出法の原理

・本装置は、特許技術であるVVC法を用いた分画システムであり、一つの装置で、分画した試料をそのまま濃縮乾固することが可能である。
・分画作業の各工程の流れをFig.1に示すが、吸着剤を充填したリザーバーに試料を入れた時点でVVC法により「吸引攪拌」を行い、試料中のアルコール分の気化を促進し、アルコール濃度を低下させる(Fig.1赤線部)。
・その結果、アルコール分の影響を受けていた成分の吸着剤への吸着量が増すことで分画時の収率向上が可能となる。

試料

・日本酒(大吟醸、アルコール分:15~16%)

実験

<基本操作>
・リザーバーに芳香族系合成吸着剤10gを入れ、メタノールでコンディショニングを行う。
・リザーバーに試料20mLを入れた後、一定時間「吸引攪拌」を行う(吸引量:25L/min)。
・リザーバーから試料を排出する。
・リザーバーに水20mLを入れ、吸着剤を洗浄する。
・リザーバーにメタノール15mLを入れ、溶媒抽出画分をバイアルに受ける。
・バイアル中の抽出液を50℃に保温した状態で、吸引式ボルテックス濃縮・乾固を行う。
<評価項目>
①回収率における「吸引攪拌時間」の影響
吸引攪拌時間を0~90分としたときの溶媒抽出画分量を確認した。
②溶媒抽出分画物の成分評価
吸引攪拌“無し“と”90分“における溶媒抽出画分を、
熱脱着・熱分解DART-MSで測定し、成分比較を行った。

結果

①回収率における「吸引攪拌時間」の影響

試料を固相(吸着剤) に入れた際に行う「吸引攪拌」の時間を振り、最終的に溶媒抽出により得られた画分の乾固後の重量を下表および下図に示す。その結果「吸引攪拌」を行うことで得られる画分量が増し、90min では収量が約2倍に増えることが確認された。「コンビニ・プレップ」では、固相抽出工程の中で「吸引攪拌」が行えるため、容易にアルコール含有試料からの溶媒抽出画分の収率向上が可能となる。

②溶媒抽出画分の成分評価

得られた溶媒抽出画分を熱脱着・熱分解DART-MSにて測定を行ったところ、「吸引攪拌」の有無で得られる成分の種類に大きな違いはないが(Fig.6上段のMSスペクトル)、個別のピークのクロマトグラム(EIC) で比較すると抽出量が変わらない成分(例:m/z 226)がある一方で、抽出量が増える成分(例:m/z 272、434)もあることが確認された。

(補足)熱脱着・熱分解DART-MS
本手法は、試料を室温から600℃まで直線的に昇温加熱を行うことで気化する成分をダイレクトにイオン化して質量分析を行う手法であり、複雑な組成を有する試料でも無処理で一斉分析を行うことが可能である。システム概要図はFig.7に示す通りであり、定量性も有することも本システムの特徴である。

まとめ

本手法はアルコール飲料以外にも、食品試料や培地などからのアルコール抽出液などを対象とした分画時の収率を上げることに有用であると考える(貴重な成分の収率向上、前処理の簡易化)。

 

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