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DART-MS分析における再現性向上の検討 ライデンフロスト現象を利用したionRocket-DART-MS分析

アプリケーション

ライデンフロスト現象を利用したionRocket-DART-MS分析1)

はじめに

液体を沸点より高温に熱した金属板上などに滴下すると、液滴となり、すぐには蒸発せずに金属上で液滴が転がりながら徐々に小さくなっていく。この現象はライデンフロスト現象と呼ばれている。DART (Direct analysis in real time) イオン源を用いた測定の試料の導入方法として、ライデンフロスト現象を利用した。
この手法により、ガラス棒を利用して試料をイオン源にかざす手法よりも熱分解を抑制し、再現性と定量性の向上が期待できる。

 

試料

カフェイン(メタノール溶液)図1

 

方法

分析システムは、DARTイオン源と質量分析計(JEOL AccuTOF LC-plus 4G)の間にionRocketを接続して構成した(写真(A)(B))。直径約10 mmの試料台をライデンフロスト現象のために用いた(写真(C))。
ionRocketの加熱機能を用いて試料台を200 ℃に加熱し、液体試料を滴下した。

 

結果

ライデンフロスト現象を用いた手法を用いてカフェイン溶液を測定した際のEIC(Extracted ion currentogram)をFigure 1に示した。①ピペットを用いて試料(カフェイン溶液)を導入し、②液滴が転がりながら溶媒が蒸発、③溶媒が完全に蒸発した瞬間にカフェイン [M+H]+が検出された。

 (A) カフェイン([M+H]+)のEICI013_Figure1A

(B) 1.7 minにおけるマススペクトルI013_Figure1B

Figure 1. カフェインを測定した際のEIC

 

10 ppb, 100 ppb, 1 ppmのカフェイン溶液を用いて、ライデンフロスト現象を用いた手法の再現性と定量性を検証した(Figure 2)。TLCサンプラー2)にガラス棒を固定して測定した場合は、ばらつきの程度を抑えることができる。ライデンフロスト現象を利用した手法では、さらにばらつきを抑えられた。

(A) TLCサンプラーにガラス棒を固定して測定した場合のEICI013_Figure2A

(B) ライデンフロスト現象を用いた場合のEICI013_Figure2B

Figure 2. 再現性と定量性の確認結果

ライデンフロスト現象を利用した手法では、液体試料を濃縮しながらDARTで測定できることが確認された。そして、再現性を向上させることができた。

1) 岡ら:「ライデンフロスト現象を利用したDART TOFMSによる液体試料の分析」 第20回 高分子分析討論会(2015年10月)
2) TLCサンプラーは日本電子製DARTイオン源用試料導入オプションです。

 

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