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食品中の油脂劣化状態の直接分析

アプリケーション

はじめに

食品中の油脂類は光や熱によって酸化・分解等の劣化を生じ、風味を損ない有害な物質を生じることがあるため劣化の程度を評価することは重要である。一般的に油脂類の劣化評価のためは、酸価や過酸化物価等を測定するが、手間がかかる・食品中の油脂含有量が少ないと測定が難しい等の課題点がある。
そこで今回、油で揚げられた豆類を試料として、ionRocketを用いて加熱による油脂類の劣化状態の直接分析をおこなった。

 

試料I018-photo1

ジャイアントコーン(市販品 ※油で揚げられたもの 右写真)
①無処理品(製品開封後)   ②80℃ 1日放置品

 

方法POT

分析システムは、DARTイオン源と質量分析計の間に、ionRocket(昇温加熱デバイス)を接続して構成した。約1 mm角のジャイアントコーンの表皮をPOT(試料台 右写真)に入れ、測定に供した。ionRocketは、室温から600 ℃まで100 ℃/minで昇温をおこなった。

 

 

結果

各試料における300~500 ℃区間の平均マススペクトルを下図に示す。
300~400 ℃区間では両試料ともにグリセロール類が確認され、スペクトル上では大きな差異は認められなかった。一方、400~500 ℃区間においては、無処理品ではグリセロール類が確認されるが、80℃ 1日放置品においてはグリセロール類は確認できず、劣化生成物が比較的多量に検出された。
本手法では、微量の試料に対しても簡便・迅速に油脂類の劣化評価をおこなうことができ、商品開発や品質管理・品質保証業務等に活用できるものと期待される。

I018_Figure1
Figure 1. 無処理品の室温~600 ℃昇温時のトータルイオン

I018_Figure2
  Figure 2. 無処理品の平均マススペクトル              Figure 3. 80 ℃ 1日放置品の平均マススペクトル

 

 

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