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熱可塑性エラストマーの分析

アプリケーション

目的

ChemZoイオン源と昇温加熱デバイスを装備した飛行時間型量分析計を用いて使用前及び使用後の熱可塑性エラストマー(Oリング)の経時変化を調べた.

実験方法

イオン源  ChemZo バイオクロマト社製 (昇温加熱デバイス付き)
質量分析計 compact QTOF Bruker社製
測定方法  使用前及び約4か月使用後のメガネ滑り止め用Oリング(各0.8mg)をサンプル台(POT)に入れ室温から
400℃まで昇温しながら熱脱離成分を測定した.
解析方法  Spectra Scope及びData Analysisソフトを用いてTIC及びマススペクトルの解析を行った.

Fig.1に使用前及び使用後の熱可塑性エラストマーのTICを示した.使用後の方が使用前よりも低温でより多くの熱脱離成分が検出された.
Fig.2に200~300℃昇温時のマススペクトルを示した.使用前の熱可塑性エラストマーはポリマー由来と思われる連続するイオンを検出することが出来たが,使用後からはほとんど検出されなかった.
Fig.3に使用前後の差分解析(IDS)の結果をレーダーチャートで示した.

使用後の熱可塑性エラストマーから低分子量域に多くの熱脱離成分が検出されたが,これは長期間使用したことによりエラストマーの硬質部分の樹脂が劣化したためと思われる.
なお、IDS結果の添加剤データベースサーチを行い,滑剤であるオレイン酸アミド(C18H35NO)が含まれていると推定した.



使用前後の樹脂を比較するために,TICの200~300℃の領域についてPolymer Engineを用いた解析を行った.
Fig.4にPolymer Engineで解析したバブルプロット及び一覧表を示した.

Polymer Engineはポリマーの繰り返し構造をマススペクトルから抽出する解析ソフトで,ここでは熱脱離したC2H6SiO(74.0188)の繰り返しイオンについて表示した.グラフのX軸がm/z値,Y軸がKendric Mass Defectとなる.例えば,Fig.3のm/z=533.1898はm/z 533.1898から繰り返し構造が7個連続したことを示し,一覧表中のIDS及びIDS pointsはPolymer Engineが抽出したm/z値と同一のm/z値がIDSの結果に含まれた場合に,そのm/z値の個数及び何番目の数値がヒットしたかを示す.

また、m/z値を合算したEIC(Fig.5)を作成することにより,異なる樹脂中に含まれる同じ繰り返し構造を持つ分子種を比較し,劣化の程度などを容易に比較することが可能である.

 

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