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HALSの簡便分析法の検討

アプリケーション

はじめに

ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)は、各種材料が紫外線照射を受けることにより発生するラジカルを捕捉する作用により、各種材料の光劣化を防ぐ効果を有している。材料中からHALSを分析するにはFig.1に示すような煩雑な手順が必要となる場合があるが、今回、熱脱着・熱分解DART-MSを用いた簡便なHALS分析法について検討した。

試料

・Tinuvin 144(N-CH3型HALS) ・Chimassorb 944(N-H型HALS)

方法

・分析システムは、DARTイオン源と質量分析計の間にionRocket(昇温加熱デバイス) を接続して構成した(Fig. 2)。
・試料 0.2mgをPOTに入れ、室温から500℃まで100℃/minで昇温加熱しながら質量分析を行った(測定時間:6分)。

結果

Fig.3、4に示すように両試料のTICの上昇が見られる温度域のMSスペクトルを見ると、ヒンダードアミン骨格に由来するフラグメントピークがそれぞれ検出されていることが確認された。これらのフラグメントピークは元のHALSの型を反映しており、N-CH3型ではm/z 154.16 [C10H19N+H] が、N-H型ではm/z 140.14 [C9H17N+H] が検出されることから、これらの有無を確認することで試料中にどの型のHALSが存在しているかを容易に把握することができると考えられた。次に、Tinuvin 144では分子量関連イオンである、m/z 685.55 [M+H] を直接検出できることが確認され(Fig.5)、このことから低分子量HALSに関しては、弊社 化学工業用データベースである「Compound Search」を活用することで、簡便に分析が行えることが期待される。
一方、高分子量HALSであるChimassorb 944では分子量関連イオンは検出できなかったが、フラグメントピークとして部分構造を有する特徴的なピークを検出することができた(Fig.6)。このことから、高分子量HALSに関しては、部分構造を有する特徴的なフラグメントピークをマーカーとすることで分析が行えることが期待される。

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