自動差分解析ソフトによる劣化試料解析 | 理化学製品の株式会社バイオクロマト | 理化学製品の株式会社バイオクロマト

自動差分解析ソフトによる劣化試料解析

アプリケーション

はじめに

材料開発において耐久性向上は重要な項目の一つである。そのためには、劣化により何が起きるのか、どのように劣化するのかなどの観点で、種々の機器分析により“劣化評価”が行われるが、劣化に伴う成分的な変化を容易に把握できないという課題がある。
これまで我々は、昇温加熱デバイスを用いた分析システム(ionRocket DART-MS) にて、比較的容易に材料分析が行えることを示してきたが、今回、新たに開発した自動差分解析ソフトを用い、加熱劣化したグリース中から劣化に伴う成分変化を見出した事例を紹介する。

試料

グリース(加熱前、加熱後)

方法

Figure1の分析システムを用い、試料 (0.5mg) をPOT (試料台) に入れ、室温から600℃まで100℃/minで昇温して測定した。 測定データは、『 Spectra Scope (差分・KMD解析用ソフト、開発:NanocodeSystems)』 にて差分解析を行った。

結果

ionRocket DART-MSではLC用の質量分析計を用いるため、一般的な解析ソフトで差分解析を行う場合はEICがピーク形状を成していることが求められる。
しかしながら、ionRocketの場合、EICが非常にブロードな形状となるため(Fig.2)、差分解析のためのパラメーター設定が難しいという課題がある。
ionRocket DART-MSでは、一定区間(温度帯) ごとにスペクトルを平均化することでデータ全体を観察をするが(Fig.3)、Spectra Scopeではこの平均化スペクトルを利用して試料間での差分解析を行う(Fig.4) 。


グリース(加熱前、加熱後) の測定データを差分検出機能である『IDS (Intelligent Data Subtraction) 』で処理すると、平均化スペクトルごとの差分成分(m/z) が一覧として出力され、各差分成分をEICとして全領域での検出挙動を確認することが出来る(Fig.5) 。この時、差分により増加(生成) 及び減少(減少) する両方の成分を同時に検出可能であり、加熱により生成する成分(m/z 258) 及び消失した成分(m/z 647、Irgafos168) を容易に確認することが出来た。このように、複雑なパラメータ設定を行うことなく試料間での差異成分の検出を容易に行えるため、各種材料の劣化解析等に大いに活用できることが期待される。


ご質問・PDFデータのご希望等、お気軽にお申し付けください。

材料分析システムについてはこちら

 

arrow_drop_up