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PBT製品(劣化初期品)の直接分析

アプリケーション

はじめに

ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、熱可塑性エンジニアリングプラスチックのひとつであり、寸法安定性や熱安定性が良好なために、電気・電子部品、自動車電装部品、OA 機器部品として広く用いられている。性能評価や劣化メカニズム解明において劣化の程度を把握することは重要であり、一般的にFT-IRが用いられるが、劣化の程度が小さい場合は、差異を検出することが困難である。
今回、FT-IRでは明確な差異が認められなかったPBTの劣化品(Figure 1)をionRocketを用いて分析したところ、明確な差異を見出すことができたため、分析事例を紹介する。

 

 

試料

新品(PBT成型品)
劣化品(PBT成型品)

 

 

方法

分析システムは、DARTイオン源と質量分析計の間に、ionRocket(昇温加熱デバイス)を接続して構成した(Figure 2)。
試料は、約0.5mm角に切り出してPOT(試料台)に入れ、室温から600℃まで100℃/minで昇温を行った。

 

 

結果

Figure 3、Figure 4には、新品および劣化品のトータルイオンカレントグラム(TIC)とヒートマップをそれぞれ示した。
TICでは、熱抽出由来と推測される検出強度の上昇位置が両試料間で異なっており、ヒートマップで詳細確認すると、2~3min(100℃~200℃)領域での低分子量成分の種類と量に差があることが確認された。
Figure 5には、両試料のPBTモノマー由来(m/z 221.08, [C12H12O4+H]+)の抽出イオンカレントグラム(EIC)を示した。
両試料間でPBTの熱分解温度(約400℃)よりもかなり低い温度からPBTモノマーを検出していたことが確認され、劣化品では新品よりも更に低温から検出していたことから、 劣化生成物としてPBTモノマーが含まれると推測する。
本検討より、ionRocket DART-MS分析は、FT-IRよりも高感度に新品と劣化品の差異を検出できることが示唆された。また、本手法は、前処理不要で簡便に劣化評価が可能であることから、品質管理への適用や、製品開発時の耐久試験工数削減が期待される。

 

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