天然ゴム(NR)劣化試験後品の迅速分析 | 理化学製品の株式会社バイオクロマト | 理化学製品の株式会社バイオクロマト

天然ゴム(NR)劣化試験後品の迅速分析

アプリケーション

はじめに

ゴムは、金属や無機材料と比較して劣化しやすいため、製品寿命の予測や耐久性の向上検討などにおいて、その劣化程度を正確に評価することが必要となる。しかしながら、従来劣化評価で汎用されているFT-IRでは、劣化品における変化を鋭敏に捉えることができないため、劣化初期段階で新品と劣化品の差異を検出することが困難である。
そこで今回、固形試料を無処理で測定を行えるionRocket DART-MS分析を用い、劣化品における変化を鋭敏に捉えることができたため、その結果を報告する。

 

試料

市販品の輪ゴム(天然ゴム)
◆新品
◆劣化試験後品*)
*)新品を130℃x30分で放置して作製

 

 

方法

分析システムは、DARTイオン源と質量分析計の間に、ionRocket(昇温加熱デバイス)を接続して構成した(Figure 2)。
試料(約0.5mm角)をPOT(試料台)に入れて、室温から600℃まで100℃/minで昇温した。

 

結果

Figure1には、ATR法によるFT-IRスペクトルを示した。天然ゴムは、熱劣化により主鎖のC=Cが減少し、>C=Oが増加することが知られているが、今回の130℃x30分程度の劣化条件では、その化学変化を捉えることができていない。
Figure3にionRocket DART-MSによる新品の分析結果を、Figure4には劣化試験後品の分析結果を3Dマップにて示した。約4分(約300℃)付近に検出されるピーク(図中、「添加剤」と表記)が劣化試験後品において減少しており、このピークは解析の結果、加硫促進剤の反応生成物である Benzothiazole であることが分かった。
また、約3分(約200℃)付近には、劣化試験後品のみに検出されるピーク(図中、「ポリマー劣化物由来」と表記)が確認され、このピークは解析の結果イソプレン骨格を有する劣化生成物であることが分かった。
以上の結果より、ionRocket DART-MS分析では、FT-IRでは評価できなかった劣化による化学変化を鋭敏に捉えることが可能であることから、ゴムだけでなく、樹脂、接着剤などの他の高分子材料の劣化評価に適用できることが期待される。

 

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