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レモンサワーの香り成分

アプリケーション

目的

飛行時間型質量分析計を検出器として市販レモンサワー(3種)の香り成分の比較分析を行なった.

実験方法

イオン源   ChemZo バイオクロマト社製
質量分析計  compact QTOF Bruker社製
測定方法      常温のレモンサワー(A, B, C)を開封直後にビーカーに移し,香り成分をチューブを介してMSに導入.
また, 脱炭酸後にも香り成分を同様にMSに導入.
解析方法      Spectra Scope及びData Analysisソフトを用いてマススペクトルから香り成分を抽出.


Fig.1に開封直後のレモンサワーのTIC(上段;ポジティブ,下段;ネガモード)を示した. 3種類の中でAの強度がポジティブ・ネガティブ共に最も強くなった.アルコール濃度は同じであることから,発泡の程度や香り成分濃度が影響したと思われる.

Fig.2にポジティブのマススペクトル(サンプル30秒)を示した.3種類の官能評価は異なるが,マススペクトルのイオン種は類似していた.TIC強度の強いAは各イオンの強度が他より強い傾向を示したが,これは果汁などに含まれる香り成分量が異なるためと思われる.
香り成分としてはリモネン, リナロールなどが含まれると推定した.


Fig.3にネガティブのマススペクトル(サンプル30秒)を示した.3種類のマススペクトルはTIC強度と同様にイオン強度が異なるものの,極めて類似したシンプルなマススペクトとなった.m/z 89.0240の化学式はC3H6O3と推定した.


アルコール炭酸飲料に含まれる炭酸は食欲増進や爽快感に繋がる重要な要素であるが, Fig.4に開封直後と脱炭酸を行ったレモンサワーのマススペクトルを示した.また、Fig.5にエタノールのEIC (m/z 47.0492 )を示した.Fig.4及び5から炭酸を減らすことによってエタノールのイオン強度が増えることが分かった.
EICのピーク面積を比較するとAは約2倍、Bは約4倍、Cは約15倍の増加がそれぞれ見られた.脱炭酸によってエタノール濃度が変化するわけではないが,炭酸量によって飲用時の印象が変わるのではないだろうか.





 

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